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年に一度は目の検査を受けて目の健康を確認しましょう!
ここでは視力低下や視野の中心部が見えなくなる加齢黄斑変性について説明します。

加齢黄斑変性とは・・・
 加齢黄斑変性は、眼のそこ、眼底の黄斑部に病変が出現し、視力低下や視野の中心部分が見にくくなる目の病気です。50歳以上で発症することが多く、北米では中途失明原因の1位となっており1300万人以上の人がこの病気にかかっています。2007年のデータでは、発病率は1.3%で男性に多く、女性の3倍のです。
 原因は加齢のほか、喫煙が症状を進行させることがわかっています。また、食生活の欧米化が一因ともされています。
 一旦視力が落ちてしまうとなかなか回復することが難しい病気ですが、最近では従来行われていたレーザー治療(PDT)に加えて、ルセンティス、マクジェンといった硝子体内に投与する薬物が登場し、視力回復も期待できる薬物治療が普及してきました。また、発症の予防、悪化を食い止めるサプリメントも服用されています。
 
 

 眼の底、眼底にある網膜の中心に黄斑があります。ものを見る場合は、この黄斑でみています。黄斑のさらに中心部には中心窩といわれる視力のもっともよい部分があります。

 
老化に伴って黄斑の組織に変化が起こり、病気を発症するのが加齢黄斑変性です。その病態から2つのタイプに分けられています。

 
滲出型(Wet Type)
 黄斑部にたまった老廃物(ドルーゼン)などが影響して、黄斑の脈絡膜(網膜の下の膜)から血管新生を起こすタイプです。出血を起こしたり、血液成分が漏れ出したりして、黄斑の機能に大きなダメージを与えます。進行が早いため、病状によっては決定的な治療法がなく、深刻な視力障害におよぶ場合がありますので、何より早期発見が重要になります。

 
萎縮型(Dry Type)
 網膜色素上皮細胞が萎縮し、黄斑の機能が低下します。進行が緩やかで、萎縮が黄斑のさらに中心部(中心窩)におよばない限り、重度の視力障害になることはありませんが、滲出型に移行する場合もあるので、定期的な検診により経過を観察する必要があります。
ドルーゼン(drusen)
加齢黄斑変性の前駆状態といわれています
滲出型加齢黄斑変性
(Wet Type)
網膜下からの血管新生
萎縮型加齢黄斑変性
(Dry Type)
神経細胞の部分的な欠損
加齢黄斑変性による視野異常ものを見ようとする中心がみえません

Wet Type(滲出型)  Dry Type(萎縮型)

加齢黄斑変性の見え方の例
加齢黄斑変性でのアムスラーチャートの見え方


正常               異常


加齢黄斑変性の検査
  加齢黄斑変性の診断は、視力検査、心理物理検査(アムスラーチャート)、眼底検査を行い、黄斑部の異常が疑われる場合には、蛍光眼底造影検査(FAG)、インドシアニングリーン蛍光造影(ICG)、OCTを行います。滲出型の場合は、新生血管がはっきりと確認できるクラシック型(Classic Type)と新生血管がはっきりしないオカルト型(Occult Type)に分類されます。

 最近では、これまで主流だったレーザー治療『光線力学的療法(PDT)』に変わり、薬物療法が主流になってきています。   PDTは、患部にレーザーを照射して新生血管ができないようにする治療法ですが、再発しやすいという問題がありました。また治療対象の患者さんも視力が0.1から0.5程度で、もともと視力がいい早期の患者さんでは、レーザー治療による視力低下を招く可能性がありました。

 2009年に登場した『ルセンティス』は滲出型が対象となり、病気の原因となる異常な新生血管を作るたんぱく質『VEGF(血管内皮成長因子)』の働きを押さえ、進行を抑えます。毎月1回1年間注射すると、約3割の患者さんで自覚できるほど視力回復効果が見られ、病気が進行して視力低下が進んだ患者さんはいなかったという結果が出ています。最近ではアイリーヤも使われるようになってきています。

 ルセンティス、アイリーアのような抗VEGF薬は月1回、目に注射するだけですむため今では治療の第一選択となりほとんどの患者さんで使われています。
 ただ1回の注射で、3割負担の方で5万円強、1割負担の方でも約2万円を負担しなければなりません。

 また、日本人の男性患者には、抗VEGF薬が効きにくいタイプのポリープ状新生血管黄斑症が見られ、その場合は抗VEGF薬とPDTを併用することになります。

 このように一旦病気になると、治療が難しく費用も高額なため、若年から発症の予防に力をいれることが重要です。
 オキュバイトという加齢黄斑変性を予防するサプリメントの内服も効果が実証されています。
 右下のアムスラーチャートの中心を片目ずつみて、マス目のゆがみがないか確認してください。

 ゆがみの出る病気は加齢黄斑変性以外にもありますので、眼科受診をお勧めします。

 また、当院ではルセンティス、アイリーア、ラニビズマブ、バビースモ硝子体注射を行っております。
詳細については医師またはスタッフにお気軽にお尋ね下さい。
 
ルセンティスの硝子体注射               
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